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「そろそろ…いいかなぁ」
陽飛は天井を見つめながら呟いた。
やはり魂を削るのは、体力の消耗が激しい。
そろそろ元に戻さないと倒れるかもしれない。
陽飛はこんこんと扉を叩いた。
「話、終わったか?」
暫くの間を置いて、扉が開いた。
「もう大丈夫だ」
珠璃は表情柔らかに微笑んだ。
『ありがとう。陽飛』
「俺は何もしてないけど」
清隆はくすっと笑った。
『もう二度と会うことはないね』
清隆は少し残念そうに言った。
「嫌なら髏雨みたいに止まっとけば?」
『前世は本来出てきてはいけない。これ以上決まりを歪めたくないから。色々とすまなかったね』
「こんな時に謝んな。別の言い方は?」
『ありがとう』
「よし!」
陽飛は満足と頷いた。
『じゃ、そろそろ中に入らないと。……珠璃、元気でね』
清隆は珠璃に微笑みかけ、陽飛の方へ歩く。
そして姿が重なり合った瞬間、すぅと陽飛の中に消えた。
「…最後まで珠璃の事だったなぁ」
「いい夫を持ったな」
网菜はぽんと珠璃の肩を叩いた。
「…うん」
珠璃は少し切なげだが、すっきりしたように頷いた。
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