亀裂直し

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      夜。 しんっと静まった城の裏口から陽飛と季里阿は外に出た。 「城から三km程度の所にあるらしい」 「もう開いて、鬼共が出てきとる…愛が木の壁を作って抑えとるけど時間の問題や。もう蒔らは先に行ったで」 李无は周りを見ながら、説明してくれた。 「でも数が多過ぎるらしいんやわ。これは亀裂が塞がるまで耐えやなな…」 数分歩くと、蒐が待っていた。 「遅い…」 「ごめんごめん。网菜が寝るまで待ってたから」 网菜は一度寝たらなかなか起きない。 普段は嫌だが、こういうときには便利だ。 陽飛達は蒐の風に巻かれる。 「ボクがさっさと塞げばいいんだね」 「そういうこと。側に誰かいた方がいいか?」 「一応結界は張るけど、誰かいた方が安心かな」 「なら、蒐。お前が見といたってくれや」 蒐はわずかな沈黙のあと、微かに頷いた。 「もうそろそろや」 李无は目元を険しくする。 陽飛は風の合間から様子を見た。 小さな森が見えた。そして、その中に不自然な木々が円を作っていた 愛の力だろう。 そして、その真上まで来て、息を飲んだ。 木を薙ぎ倒して歩く無数の鬼。 小さな森が埋め尽されていた。 「こんなに…!」 下手すれば暗鬼より多い。 「わいらに相談して良かったなぁ。お前ら二人だけやったら瞬殺されるで」 李无の言葉に、陽飛は納得した。 こんな人数一人で受け持つ事は出来ない。 だが、 「季里阿、俺に鬼が惹き付けられるような術をかけてくれ」 陽飛は双剣を出して言った。 「……分かった」
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