亀裂直し

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      朝、李无に支えられて帰ってきた陽飛を、たまたま通った荼清に見付かった。 「お前っ、何だその有り様は!」 「あーうるさい。鍛練だよ鍛練ッ!」 陽飛は耳を塞いだ。 荼清は半目になった。 「……練習場は反対側だぞ」 陽飛はぎくっと肩を揺らした。 それを見た荼清は目元を険しくした。 「傷の手当てしたら俺の部屋に来い」 そう言って、荼清は歩いていった。 冥王に報告しにいくのだろう。 「はぁ…」 「精々頑張れ」 季里阿はにやりと笑って、手を振った。 「お前も同罪だ」 「ボクは呼ばれてないしねぇ」 「元を返せばお前が一番悪いんだろが!そこは責任持って自首しろや!!」 陽飛はびしぃっと季里阿を指差した。 「ボクにも別の説教が待ってるんでね」 「は?」 と呟いた瞬間、 「きーりあー!!!」 後ろから怒鳴り声が聞こえた。 「それじゃ!お互い頑張ろね」 季里阿は疲れているのにも関わらず、走って逃げ出す。 「てめっ!この、待ちやがれェ!!」 「季里阿様!せめて手当てを―!!」 それを追い掛けていったのは朱と阿修羅だった。 「……朱ってあんな奴だったけ?」 唖然と見送る。 「性格が変わる程、心配しとったってことや。さてと、これ以上冥王らを待たしたら、煩さなるで」 李无の言葉に、陽飛は迅速に行動した。
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