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暫く睨み合いうと、陽飛は目線を落とした。
「ねぇよ、そんな背中。でも、もう誰にも怪我してほしくなかった…!俺だけで済むならそれでいい!!」
噛みつくように言った陽飛は、強い目で网菜を見た。
「守ったりすることは背負う背中がなくても出来る」
网菜はじっと陽飛の顔を見つめた後、静かに上から退いた。
「だからって一人で行くな。まずは周りの人間の事に気を配れ……だからお前はまだまだひよっこなんだ馬鹿者がっ」
网菜はぽろりと涙を落とした。
「私が、どれだけ心配を……」
泣き出した网菜に陽飛は慌てた。
この涙にはいつも勝てない。
「わ、分かったから、もう一人で突っ込む事はしないから…だから泣きやんでくれ」
陽飛は网菜の頭を優しく撫でる。
そんな二人を見て、朱蛇螺はふっと笑った。
「まったく…网菜に全て言われてしまった」
荼清も苦笑する。
「今回だけは許してやろう。ただし、次にこんな事をしたらただでは済まないと思え」
「はい…」
陽飛は頷いた。
「李无もだ」
「分かっとるがな」
李无はひょろひょろと立ち上がった。
どうやら足が痺れているよう。
「よし、これで終りだ。お前たちはゆっくり休め」
そう言うと、朱蛇螺は奥に消えた。
「はぁ、恐かった」
「二度と味わいたくなかっから」
「はいはい、しませんとも」
荼清にひらひらと手を振って部屋を出た。
「今の言葉、本当だな?」
まだ目が赤い网菜が聞いてくる。
「网菜に二度とそんな顔はさせないから」
そっと涙を拭ってやった。
网菜は嬉しそうに微笑んだ。
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