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「あ…」
向こう側からふらふらと歩いてくるのは季里阿だった。
「よぉ、えらく疲れてんじゃねぇか」
季里阿は苦笑する。
「お互い様でしょ。しかも、女の子を泣かしたようだね」
季里阿は网菜を見て、微笑んだ。
网菜はむっとした顔になる。
「泣いてない!!」
「目が兎だ」
朱もその中に入る。
「ごみだ。ごみが入った!!」
目をおもいっきり擦り出した网菜の手を掴んで、陽飛は溜め息をついた。
「こいつはすぐにムキになるからからかうな」
その瞬間、肘鉄を腹に食らわされた。
「ぐふっ」
腹を押さえてしゃがみ込む。
「いってぇな!折角人がフォローしてやってのに肘鉄かよ!!」
「フォローなんていらん!!」
季里阿達が見ているのも忘れて、二人は言い争いを始めた。
目を丸くしている季里阿に、李无はぽくぽくと肩を叩く。
「いつもこんなんや。見とって呆へんで」
「へぇ、確かに面白いね」
季里阿は浴衣の裾で口を押さえて笑い出す。
それに吊られて、両脇にいた朱と阿修羅も笑う。
笑い声が聞こえたのか、ぴたっと争いを止めた二人は、罰が悪そうに顔を見合わした。
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