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オレは今、
自分が何をしたか、思い出していた。
おやじを……。
刺した。
刺した感触と、
なま温かい血液の臭いと、
おやじの言葉。
「いつまでも甘えてんぢゃねーよ!おまえのやりたいことを探せよ!」
俺がやりたかったこと……。
それがわからない。
「ま・・こ・・と…早く……大人に……もっと強く……なれよ………」
そー言って床に崩れ落ちたおやじの手は、
温かかった……。
俺が刺した。
手首の傷が痛む。
死のうと思いナイフで、
斬った。
そーだ、そこにおやじが入ってきたんだ。
「おやじッ!俺はパッと消えてなくなんだよ!くだらねーこんな世界、いらねーよ!あんたみてーに、くだらねーやつばっかな世界にウンザリだぜ!」
俺がナイフで血の滲む手首をもて遊んでると、おやじは、
つかつかと俺の方に向かって歩いてきた。
焦った俺は思わずナイフをおやじに向けた。
そこにおやじが自ら飛び込み俺を抱き締め、怒ったんだ。
俺が刺した……。
おやじは死んだのか?
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