bio

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『ここか…』 ヘリは酷い状態だった。プロペラがへし折れ、爆発の跡は無いが、燃料と、ゴムが焼けたような刺激臭が鼻を刺激する。 ヘリの中はジョセフが捜索したが、闘争の痕跡、薬夾共になく、装備品や薬品等も綺麗にあったらしい………が、パイロットのケビンが喉を食い破られ死んでいた。という報告がなされた。 『近くに敵はいるはずだ!警戒を怠るな!』 ヘリの30m四方で捜索が行われた。 と、ジョセフはふいに背後に気配を感じ、足を止めた。ガチャッ…カチャ…………ショットガンにつけたライトで敵を確認する。 『気のせい…か』 …カチャ… ショットガンを下ろした瞬間、横から何かが飛びかかってきた! 『ウァー…!!!』 ガブッと喉を一撃。一般人なら死んでいたろう。が、訓練された隊員は違う。さっと肩をずらし、アーマーに噛みつかせる。腐敗したような甘酸っぱい臭いを鼻に感じながら手で払い除け、ショットガンで一撃 『スバァンッ!』 『キャウン…』 虚しい叫びが響く。仲間も銃声を聞き付け走った。 『ハァー…ハァーッ…』 息は荒いまま。緊張がピークに達している。 と、荒い息のせいで聞こえなかったもう一匹の犬がジョセフの手に噛みついた。 『あー…………アァオゥ……………ぐぅ…』 『ズパァン!M3ショットガンが火を吹く。抵抗虚しく散弾は空気を切り裂き、もうポンプアクションできる元気は残っていなかった。さらに4匹、ジョセフの喉は食い破られ、血がドクドク吹き出し、半ば痛みもピークを去って、眠くなってきた。』 『ハハハッ…』 声にならない。喉からヒューと息が漏れた。 『ズパンッ!バンッ!ダンッ!ダンダンッ!』 重厚な音と共に、噛みついていた2匹が離れた。 『ジョセフ!』 ジルだ!あぁ…ありがとう。でもオレはもう駄目なんだよ… 声は届かない。 『ダクッ!ダンダンッ!ダダッ!ダンッ!』 『ダンッ!カチッ……………』 弾が切れたようだ。ジョセフはジルを見、目を閉じた。もう、目覚めない……………
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