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僕は、彼女が好きだ。
愛しくて、愛しくて、抱き締めたくなる。
――けど。
それが叶う事は、きっとない。
ほら、今日もまた。
いつも通りの会話が、繰り広げられる。
「また……来たんですね」
僕の住んでいる、レンガ造りの家が立ち並ぶ街。その郊外にある森、その奥深くにひっそりと建っている屋敷に、彼女は住んでいた。
「うん、来たよ」
まるでお人形のように、ぽつんと椅子に座る彼女に、僕は答えた。
「どうして……来るんですか?」
その問い掛けは、もはや定型文。だから僕も、定型文で答えを返す。
「そんなの決まってる。――君が、嫌いだからだよ、ミツハ」
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