出会い

4/4
前へ
/17ページ
次へ
「あ……と、僕はシュヴァーリ。シュリで良いよ」 このシチュエーションで自己紹介……我ながら、間抜けかもしれない。 僕の返答に、少女は小首を傾げた。 「どうして……ここにいるんですか?」 ……それはむしろ、僕が聞きたい。見たところ、彼女は僕と同じくらいの年齢だ。そんな彼女が、どうしてこんなところに住んでいるのだろう? ――とはいえ、僕が住居不法侵入をしているのは変わらない。早めに弁明は済ませておこう。 「実は道に迷っちゃってね……偶然ここを見つけたから立ち寄らせてもらったんだ。……その、勝手に入って、ごめん」 すると彼女は、悲しそうに瞳を伏せた。 そうして、「そうですか……」と呟いた後、彼女はきっぱりとこう告げた。 「それなら……私に、関わらないでください」 ――その、言葉。 それに、僕は、たまらなく違和感を覚えた。 ……いや、違和感というよりは。何か、彼女の言葉に従っちゃいけないというような、そんな、漠然とした直感―― 「……君の名前を教えてくれないかな?」 だから、気が付けばそんなことを口にしていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加