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「あ……と、僕はシュヴァーリ。シュリで良いよ」
このシチュエーションで自己紹介……我ながら、間抜けかもしれない。
僕の返答に、少女は小首を傾げた。
「どうして……ここにいるんですか?」
……それはむしろ、僕が聞きたい。見たところ、彼女は僕と同じくらいの年齢だ。そんな彼女が、どうしてこんなところに住んでいるのだろう?
――とはいえ、僕が住居不法侵入をしているのは変わらない。早めに弁明は済ませておこう。
「実は道に迷っちゃってね……偶然ここを見つけたから立ち寄らせてもらったんだ。……その、勝手に入って、ごめん」
すると彼女は、悲しそうに瞳を伏せた。
そうして、「そうですか……」と呟いた後、彼女はきっぱりとこう告げた。
「それなら……私に、関わらないでください」
――その、言葉。
それに、僕は、たまらなく違和感を覚えた。
……いや、違和感というよりは。何か、彼女の言葉に従っちゃいけないというような、そんな、漠然とした直感――
「……君の名前を教えてくれないかな?」
だから、気が付けばそんなことを口にしていた。
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