6ヶ月後

8/14
29144人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
訓練室に入り、拳銃を二丁構える。 やる事は1つ。別の入口から入った翔を発見し、撃たれる前に…撃つ。 《守ー。聞こえるー?》 無線に翔からの音声が入る。 「聞こえる。準備できたか?」 《OKだよー。じゃあ、始め!》 ダッ! 合図と同時に駆け出した。 遥かに高くそびえ立つ壁に沿って走る。 ここからは映画やドラマの見様見真似だ。 一気に曲がり角の寸前まで走り、背中を壁に接し停止する。 そして拳銃を胸元に構え、角越しに覗き込む。 ………視界に捉えられたのは更に続く真っ直ぐな通路のみ。 大丈夫だ…いない。 このまま足を休ませる事なく駆け抜け再び曲がり角にて停止する。 頭の中でそれをイメージし、実行に移す。 イメージ通りに体を動かし、イメージ通りに曲がり角で停止。 これを何度も繰り返してこの迷宮での翔の捜索を試みるつもりだ。 そして8つ目の角へ走り込み、停止した。その時、 ダァン!!……… 「てぇッ…!!」 銃声が鳴り響いた。 同時に右肩に凄まじい激痛が走る。 ………撃たれた。 「俺の勝ちだねー。守ー。」 背後から翔が余裕の表情で歩み寄って来る。いつの間に後ろを取られていたのか。   「ちっくしょ……何でだよ…。」 ゴム弾とは言ったものの…痛い。…痛すぎる…! 予想範囲外の激痛に涙が一粒零れかけていた。 「あんなに足音響かせて走ってたらー、ここにいますって教えてるようなもんだよー。銃の腕は良くてもー、これじゃ駄目だねー。」 …意識していなかった。 足音など立てれば容易に居場所を察知され、容易に背後を取られてしまう。…不覚だった。
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!