狂い出す運命

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「怪我はない?」 武谷の手には高田同様拳銃が握られていた。 「ああああ!!いやあぁああぁぁぁああ!!!」 舞は廊下を這うように後ずさりし、掃除用具が入っているロッカーにぶつかった。 「あなた…椎羅木君じゃない!」 「…武谷……。」 もはや武谷「先生」とは呼べない。目の前で人を殺したのだ。こいつは。 「何が……何がどうなってんだよ…。何で武谷も…高田も……こんな物を……。」 「シッ………誰か来るわ…。」 武谷は高田が持っていた拳銃を奪い、構える。 その時、階段の方から3人の人影が現れた。 「……ッ!」 武谷は守を抱き、舞がいるロッカーの影に転がり込んだ。 「確かにこっちから銃声が聞こえたんだが…。」 「誰もいないじゃないですか。」 「期待させないでください。せっかく殺せるかと思ったのに。」 これも聞き覚えのある声……教師の声だ。 「3人……不利ね…。あなた達はここでジッとしてなさい。」 武谷はそう言って拳銃を手にロッカーの影から飛び出した。 「!……いた」 ダァン!! 1人が何かを言おうとしたが、銃声と共に言葉が途切れた。 続けざまにもう一発。 「きゃっ……!」 また1人生き絶えた。 ダァン!! そして、3つ目の銃声。 「あうっ…!」 撃たれたのは武谷だ。弾は左肩を掠めたようだ。 武谷が着ているのは普段教師が着ている白いジャージだ。左肩を中心に紅い染みが広がっていく。 「観念してください。裏切り者。」 「…うっ……!」 最後に残った1人はいつの間にか武谷の目前にいた。 ガッ 「あぁあ!!」 その男は武谷の左肩に思い切り蹴りをくらわせた。 「やっ……!」 同時に舞が小さな悲鳴を漏らしてしまう。 「……そこに誰かいるんですか?」
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