攻防

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  《古賀殿。応答願います。》 突然無線に流れ込む音声。坪内からだ。 「どうした?」 《たった今、敵の拠点を聞き出しました。一旦合流しましょう。》 古賀、本田、坪内、葉山、木村の5人は本部のカモフラージュである『ジョディのおうち』の前で落ち合い、敵の拠点へと歩を進めた。 代わり映えのしない路地を直進、右折、直進、直進、更に右折。約3キロ進んだ所にそれはあった。 廃屋に囲まれた大通りに停車している3台の大型トラック。これが敵の拠点である。 あの巨大な荷物庫には様々な通信機や武器があるに違いない。 トラックの周囲には見張りらしき人影が十数人。いずれも銃火器を所持している。 5人は2階建ての廃屋の中に身を潜め、拠点の様子を伺っていた。 「……どこから突き崩しますか?」 と、坪内。 「俺が奴らの注意を引く。お前らは回り込め!」 古賀は廃屋から飛び出し、単身で拠点へと向かった。 「ちょっと古賀君!待って……!」 本田が引き止めようとするが間に合わない。自ら進んで危険度の高い役を買って出るのは古賀の良い面であり、同時に悪い面でもある。 「ぐずぐずしている暇はありません。言われた通り回り込みましょう。」 坪内もショットガンを担ぎ、走り出す。 木村は狙撃するため2階へと上がった。 拠点では古賀の接近に気付いた見張り達が一斉に銃を構え、発砲した。 「チッ!気付かれたか…ッ!」 古賀は怯む事なく走り、近くの建物へと滑り込んだ。 数え切れない程の弾丸が壁に命中し喧しく音を響かせる。 「やっぱ囮なんざ、簡単に引き受けるもんじゃないな!」 銃声が止むと同時に古賀はガラスの無い窓から身を乗り出し、サブマシンガンの引き金を引いた。
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