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木村が撃ち出した弾丸がアスファルトに命中。火花が散り、ガソリンに引火したのだ。
トラックは炎上し、真っ黒い煙が天へと立ち上る。
「……………。」
とりあえず一件落着と言った処か。しかし本田の脳内には新たな不安が募っていた。
今の爆音、住宅街にまで響いてしまっただろうか。
「…やり過ぎですな。間違いなく一般人の耳に入ったでしょう。」
と、坪内。
ああ、やっぱり。
運よく爆音は聞こえなかったとしても空高く上がる煙は見えない訳がない。
「消防隊が来る前に戻りましょう。古賀君と葉山君、木村君にもそう伝えてくれる?」
「分かりました。……それにしても、大丈夫でしょうかね?」
坪内には先程までの余裕など微塵も無い。
「後は処理班に任せる意外ないわよ。…そういえば木村君はまだ戦闘員に成り立てだったわね………よく言い聞かせておくわ。」
本来なら自分達の存在は表沙汰にするべきでは無いのだ。故に敵トラックを爆発させるなど以っての外。
何はともあれ任務は完了した。
すぐに本部に帰還し坪内が捕らえた男から有りったけの情報を搾り出すだけだ。
「それでは行きましょうか。早く食事にしたいものです。」
「ええ、そうね。」
任務から生還した際の安堵感。これ程心地よいものは無い。
「帰りましょう。ホームへ。」
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