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「おや。君はこの学校の生徒ですか。」
この男は阿嘉欺 琢磨(あかぎ たくま)。音楽のイケメン教師だった筈だ。
「う~ん、君達をどうしましょうかね。ここで殺すのは簡単ですが、この裏切り者の仲間だとしたら…。」
その時、
ダァン!!……
阿嘉欺が引き金を引いた。
「武谷さん。変なことしたら次は頭撃ちますよ。」
「………くッ…!」
阿嘉欺は武谷が拾おうとした拳銃を撃ったようだ。拳銃は吹っ飛ばされ、廊下の奥へと消えてしまう。
「………仕方がない。君達を芝崎さんの所へ連れていきましょう。」
「芝崎……校長もお前らと同じ…!」
校長の名前が飛び出し、守は無意識的は反応した。
「裏切り者は手錠でも掛けときましょうか。」
阿嘉欺はそう言って髪を引っ張り武谷を引き寄せた。
「両手、後ろに回してください。」
「……わかったわよ。」
そして武谷の両手に手錠が掛けられた。
「さ、行きましょう。」
「……ざけんな…。」
その時、震えながら小さく響く…守の声が。
「………はい?」
振り返り、睨め付ける阿嘉欺。
「ふざけんな!俺らは無関係だ!てめえらの殺し合いに巻き込むんじゃねえ!!」
「巻き込むんじゃねえ………ですか。」
阿嘉欺は無表情で守に近付いてくる。
「守…!何して…。」
舞が涙声を零しながら守の肩を揺すった。このような危険人物としか思えない人物に対して刺激を与えるという事が、どういう事か…。
「俺らを帰らせろ。今……今すぐ…。」
心底怖い。平気で人を殺す奴にこんな事を言えた自分も怖い。
「君って人は…。」
阿嘉欺は守の手前で立ち止まった。
「本当に愚かですね!!」
ゴッ…!
「がっ…!」
守の腹に衝撃が走った。阿嘉欺が蹴飛ばしたのだ。
「僕は手間を掛けるのが1番嫌いなんですよ。」
「ゲホッ……ゲホッ…!」
「教員のまね事をしているときもそうでした。面倒臭い事この上ない!」
阿嘉欺は守の胸倉を掴んで引き寄せた。
「だから大人しく着いて来てくれると嬉しいんですけどねッ!」
「ぁ゙……。」
阿嘉欺は守の鳩尾に拳を叩き込み、落とした。
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