祝賀会

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「理由?そんなのただの体質みたいなもんじゃないのか?」 「あたしも最初はそう思ったよ。…でも…これは病棟区の伊乃さんから聞いた話なんだけど…。華里奈ちゃん、ほんの少しだけ…脳に障害があるらしいの。」 「…………え?」 何だって? 脳に…障害…? 「精密検査で分かったんだけど、その障害は生れつきじゃなく、幼い頃に突発的に起こった物らしいの。それで方向感覚が狂わされちゃったみたい…。」 「な、何で?そんな馬鹿な話…。」 「伊乃さんの推測だけど障害が起こった理由として考えられるのは……華里奈ちゃんの方向感覚が乱されるくらいのショックを幼い頃に受けたのかも…って。」 脳の機能の一部に狂いが生じる程のショック…。 何なんだ?それは。 「そのショックって…何なんだ?あいつに………何が起こったって言うんだよ!?」 この質問をぶつけずにはいられなかった。 「そんなの分かんないよ…。あくまで推測の話だし…華里奈ちゃん自身何も話そうとしないし…。」 「…待てよ…。その話が推測だってんなら華里奈の方向音痴の原因が脳の障害によるものだっていうのも推測なんだろ!?」 そうだ、これは推測だ。事実なんかじゃない。 しかしその微かな希望も…すぐに掻き消された。 「……ううん。それは推測じゃない。精密検査で分かったって言ったでしょ?それに、華里奈ちゃんには確実に何かがあったって事が分かる証拠がある。」 「…な、何だよ…それ…。」 「………華里奈ちゃんね、銃を近付けられると…すっごく怒るの。……別人みたいに…。」
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