祝賀会

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再び、翔の自室前 「夏美ー!守ー!」 ようやく両手に大きな2つのビニール袋をぶら下げた翔が現れた。まるで買い物帰りのおばさんのようだ。 その後ろにはふて腐れた表情の明彦が。 「翔君遅いよ!待ちくたびれたんだからね!」 夏美は右手をぶんぶん振りながら言った。 「ごめんよー。食料調達に時間かかってさー。」 「食料調達?」 咄嗟に守が口を開いた。 「うん。厨房から食材分けてもらったんだー。あとは夏美が作ってくれるよー。」 「へぇ…。…夏美、料理できるのか?」 「これでも料理は得意分野なんでっす!」 ふーん。家庭的なんだなー…。 「立ち話してないで入ろ入ろー。」 翔はビニール袋の1つを守に手渡し、ポケットから鍵を取り出した。 …ガラン 「…ん?」 持たされたビニールから響く音。それは食材にしては…やけに固そうな…。 気になったので中を覗いてみる。するとそこには大量の缶や瓶が窮屈に入れられていた。 ジュースか何かだろう。そう思いながら缶を拾い上げる。 しかし、それは…… 「……ビール…?」 今度は瓶を1本掴み、持ち上げる。 …日本酒。 他にはカクテル・焼酎・ハブ酒など……………ハブ酒!? 「お、おい!翔!何だよこれ!酒ばっかりじゃねぇか!」 「んー?そーだけどー?それがー?」 それがー?じゃねぇよ。 「…まさか貴様、未成年だから酒は飲めませんなどと言うんじゃないだろうな?」 ここぞとばかりに明彦が口を挟む。 「そうは言ってないだろ!」 「…ふっ、まだまだ子供だな。」 「なッ…お前…!」 「馬鹿な言い合いしてないで入りなよー。鍵開いてるよー。」 火種が炎上する前に翔が宥めに入った。 いや、その面倒臭そうな口調からすると宥めるつもりは無かったのかもしれない。
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