祝賀会

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その大きくてフサフサした謎の物体を翔が遠ざけ、守は救われた。 「何だよ…何なんだよ…。」 「ごめんねー。こいつ、すぐに人に飛び付くクセあるからー。」 一体何だったのだろうか。すぐさま翔に視線を向けると、そこには… 「……犬…?」 それはもう嬉しそうに尻尾を振りまくって翔に撫でられている犬…大型犬が。 「皆に見せるの初めてだねー。ゴールデンリトリバーで、名前は大豆!よろしくー!」 「ばぅばぅばぅ!!」 「犬なんて飼ってたんだ!かーわぃぃ!!」 夏美は大豆に抱き着いた。肌触りが気持ち良い。 「この前から飼い始めたんだー。………明彦ー、どうしたのー?」 可愛らしい大豆を前に和気藹々とした雰囲気の中、明彦は無言で玄関に立ち尽くしていた。 それも、ただ立ち尽くしているのではない。猫に追い詰められた鼠のように怯えながら、夏美の背中に隠れている。 「…明彦?」 「な、何でもない…大丈夫だ…。」 「ばぅばぅ!!」 と、大豆が鳴くと… 「ひぃッ!」 ……………ん? 「…ばぅ?」 「うわッ…!」 …………… ………… ……… …… … ……………え? 「…明彦?」 「う、うるさい!何でもない!!」 「…そうか?」  犬が苦手だな。こいつ。 すると守は大豆の元へ歩み寄り抱き上げた。 程よく重く、温かい。素晴らしい抱き心地だ。 そしてそのまま振り返り… 「な、何のつもりだ…!」 明彦へ、接近。 「こんな可愛いんだし、明彦も抱いてみたらどうだよ?」 「いや…僕は…。」 更に接近。 「ほらほら!遠慮すんなって!」 またもや接近。 …ハッハッハッハッハッ。 「や、やめろ…!息がかかった…。」 「ほらほらほらほら!!」 「貴様…!やめ……いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ……やばい。ちょっと楽しい。 俺、若干Sかも。 ん?何の話かって?気にしない、気にしない。
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