祝賀会

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確かトイレは部屋を出て右にある筈。華里奈を担いで一目散に走っていく。 くそッ!何で共同便所しかないんだ!?ここは!! 「ゆ、揺らすな……吐く……。」 「我慢してくれ!頼むから!」 無我夢中でトイレのドアを勢いよく押し開き、個室へと駆け込んだ。 目前にそびえ立つ洋式大便器。今の華里奈には輝いて見えているに違いない。 そして…… 「大丈夫かよ?」 前屈みになっている華里奈の背中を優しくさする。 そろそろ楽になってきたのだろう。 華里奈は猫背を垂直に直し、便器の水を流し、洗面所でうがいをした。 「……すまない…。ここへ連れて来てからお前には迷惑をかけてばかりだな…。」 「別にいいって!つーか、酒弱いにも程があるだろ…。」 「う、うるさい…。」 フラフラになりながらもトイレから出ていく華里奈。守もそれに続く。 ドアを開け放ち廊下へと出た、瞬間。 丁度トイレの前を通り掛かった本田に鉢合わせした。 「…本田か。」 「あ、ども。」 「今晩は…、じゃなくて………あなた達…。」 何故か動揺している本田。その理由はというと…。  「…何で…一緒にトイレへ…?」 「………ん?」 お互いに顔を見合わせる2人。 守と華里奈。男と女。異性同士。 それが何故、共に男性用便所から出てくるのか、本田には謎に違いない。 守もそれに気付くのに、随分と時間を要した。 「あ、し、しまっ…!」 焦る守。 「な、何で男用のトイレに…。」 わなわなと震える華里奈。 「…あなた達。隠れて何をやっていたのかは聞かないでおくけど、そうゆう事は控えなさいね。」 「ち、違う!誤解だよ!誤解!」 「守!よくも私を男用の便所に…!」 「お前論点ズレてるから黙っといてくれ!!」 「椎羅木君、華里奈さん。そういうことは程々にね。」 「違う!ていうか何が言いたいんだよ!あんたは!!」 最近、散々な日が続くな…。
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