祝賀会

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同時刻 アフガニスタン紛争地域 軍用キャンプ ここにはアフガニスタンで勃発した紛争の鎮圧を軍から依頼された傭兵部隊が宿泊していた。 天井から吊された電球が照らすキャンプ内には様々な銃火器……中にはグレネードランチャーなどの危険な物まで見受けられた。 奥には数十人の傭兵達が酒を飲み飯を食い……軽い宴会状態だ。 数人、血の滲んだ包帯を体に巻いている者がいるが全く気にしている様子はない。怪我には馴れているといった感じだ。 また、この傭兵部隊はアメリカ人や中国人、イギリス人など、世界各国の人間が集まって編成された部隊。 中には………1人だけだが、日本人もいた。 その日本人の名前は長海 真(ながみ まこと)。筋肉質な中年の男性だ。 「メアリー!今日の仕事ははかどったかーい?」 長海は紛争地域とは思えない程の明るい声でメアリーという女性傭兵に呼び掛けた。 「マコト!大成功でしたわよ!ボブとグレイが追い詰めた敵達を私がランチャーでBOMB!!!痛快でしたわ!!」 爽快さ満開の笑顔で答えるメアリー。 「へぇー!可愛い顔しておっそろしい事するねぇ!!」 「褒めても何も出ませんわ!そもそも私なんかよりマコトの方が断然…。この紛争が片付いたら今度はどこへ?」 「あぁ、ちょっくら休みもらって日本に帰ろうと思ってる。長いこと帰郷なんてしていからなぁ…。」 「ふぅん。ご家族に会いに?」 「いんや、傭兵になるって妻に話したら言い合いになっちゃってなぁ……離婚しちまったんよ。」 苦笑しながら酒を口に運ぶ長海。 「あら…ごめんなさい…。」 「気にする事ないってーの。…でも綾子の奴、残して来た子供達の面倒見てくれてっかなぁ?」 「子供?」 「女の子と男の子を1人ずつな。あいつらが今どうして過ごしてんのか気になってしょうがないんよ。」 「Oh…それで帰郷するのね?」 「まぁな。」 思えば日本を飛び出してから早いもんで14年。 子供達の事で記憶にあるのは、まだ卒園もしてない娘と言葉を覚えて間もない赤ん坊の息子だけ。 …今、どうしているんだろうか? 平穏に、平和に、暮らしているのだろうか? …早く、会いにいってみたい。
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