狂い出す運命

12/21
前へ
/568ページ
次へ
「ぅ……ゲホッ…ゴホッ…!」 「守!守!」 守を庇うように立ち上がる舞。 だが、 「あなたは……誰です?」 「えっ……きゃっ!?」 阿嘉欺は舞の腕を掴んだ。 「んー…中々良い体してますね…。あなたは殺さず持ち帰るのも良いかもしれません。」 「は……離して!」 そのまま舞の腕を引き寄せ………舐める。 「ぃやっ!」 パンッ 舞は反射的に阿嘉欺の頬にビンタをぶつけた。 「……痛いですね…。」 「あ…。」 舞は焦り、阿嘉欺から離れた。 「僕、痛いのも嫌いなんですよ。」 「え……?」 気が付くと阿嘉欺の拳銃は舞に向けられている。 「…あ、姉貴!!」 守は咄嗟に、無意識に阿嘉欺の目の前に立った。舞を庇うように。 「邪魔ですよ!!撃たれたいんですか!?」 その時、 「やめなさい!」 「うッ…!」 阿嘉欺が倒れた。武谷が背後からタックルをかましたのだ。 「貴様…!」 「その2人は関係ない!すぐに帰らせなさい!」 「口ではどうとでも言えますけどね…、あなたとこの2人が関係ないという証拠はない!」 阿嘉欺は起き上がり、武谷の首に拳銃を押し付けた。 「それに仮に関係なかったとしても、もう生かして返すわけにはいかないんですよ!」 「阿嘉欺君。銃を降ろしたまえ。」 突然、暗い廊下の奥から声が聞こえた。 「な……ですが…。」 「阿嘉欺君!」 「……はい…。」 阿嘉欺は舌打ちをして銃を降ろした。 「あんた……芝崎か…!」 「おや?今日は2度目だね。………椎羅木君。」 芝崎は笑顔で守に歩み寄って来た。
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29147人が本棚に入れています
本棚に追加