6ヶ月後

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エレベーターに乗り込み訓練区を後にし、Vー01号室…休憩所へと向かう。半年もいれば構造も自然と体で覚えられるものだ。 「…貴様らか。」 「あ!おっはよーう!」 休憩所には明彦と夏美の姿が。 「おう。お前ら先に休憩入ってたのか。」 「うん…まだ10時なのに……もうくたくた…。」 ふぅ…。と小さな溜息を漏らす夏美。この処、筋肉痛が絶えず続いているらしい。 「そういえば最近の特訓、何かハードになってきてないか?」 「それはそうだ。試験が近いからな。」 と、明彦。 …試験? こんな言葉、中学・高校に通っていた頃の定期テスト以来全く耳にしていない。 まさか、ここまで来て勉強しなきゃならないとか……? 「守に話したっけー?戦闘員資格試験のことー。」 「え?何?…戦闘員…何だって?」 考え込んでいたため翔の声が上手く聞き取れなかった。 戦闘員という言葉が聞こえた以上、学校の定期テストとは別物のようだ。 ……よく考えれば当たり前だが。 「戦闘員資格試験だよ。半年に1回、訓練生が戦闘員になるための…ゴム弾っていう当たっても怪我しない弾を銃で実際に撃ち合って闘う模擬戦闘実技試験があるの。守君がここに来る直前にもあったんだよ。」 代わって夏美が説明してくれた。 「…へぇ…。…初耳だ…。」 何故そういう大事な話を先にしてくれないんだ!?前にもあったぞ!こんな事!! 「俺達、前回の試験落っこちちゃったからねー。頑張らないとー。」 「当然だ。いい加減、毎日毎日訓練だけでは何も面白くない。」 ずっと前から訓練生としてやって来ている明彦、翔、夏美でさえも落ちる程の試験…。 たった半年で合格できる程甘くはないに違いない。 「俺らのグループには助っ人みたいな感じで華里奈が味方になってくれるんだけどねー。…全ッ然駄目だよー…。」 「それどころか僕達が華里奈さんの足を引っ張っているようなモノだ。戦闘員以上の実力を持ちながら未だに戦闘員になれないのは僕達のせいだからな…。」 華里奈はずば抜けた実力を持ち合わせているが故に任務に駆り出される事がよくあるが、肩書は戦闘員ではなく訓練生だ。 試験は普段訓練をしているグループに別れて行われる。グループのメンバーの内2人以上が脱落すれば、そのグループは即失格となる。今までは明彦、翔、夏美の内2人が脱落してしまっていた。
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