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「だが今回も……駄目だろうな。」
突然の明彦ならぬ弱気な発言。先程までの意気込みはどこへ消えたのか…。
「え?ど、どうしてそんな事言うのかな?あたし達皆頑張ったじゃ…。」
と、夏美が言った。
「それはメンバーが僕らだけだった時の話だ。…忘れたか?今回はお荷物が1人増えている事に。」
…その瞬間、3人の視線が一斉に守へと注がれる。
「な、何だよ…。」
「椎羅木 守。貴様がのこのこ入って来たおかげで僕らはまた………不合格に終わるんだ…!」
「は…はぁ!?」
いきなり何を言い出すんだ!?俺が入って来たから不合格決定だぁ!?
正直に言おう、
「意味分かんねぇよ!何でそうなるんだ!?」
「ただでさえ難関な……1度の試験で合格できるのは全200人近くいる訓練生の中でせいぜい10人程度!そんな試験で、たった半年鍛えただけの弱者がいる時点で僕らの負けは決まってるんだよ!!」
「…ッ…!…テメェ…!」
確かに自分はまだ半年間訓練を積んだだけの弱者かもしれない。だが出来る限りの努力はしたつもりだ。
それなのに、こいつは…!
「明彦!何て事言ってんの!?」
その時、翔が間に割って入った。
険悪としか言えない表情で。
「僕は見え透いた結果を述べただけだ!僕らはルーキーのせいで、また!資格試験に合格する事は出来ないとな!!」
「そんなの分かんない!!守だって俺達以上に頑張って…銃の腕だって俺達なんかじゃ馬鹿に出来ないくらいに上がってる!!それなのに…」
「そんな事は百も承知!!僕は実際に他人と撃ち合った事もない奴にあんな試験が通るわけがないと言ってるんだ!!」
試験が近付いている焦りからか、明彦も翔も相当苛立っているように見受けられた。
その時、
「ごたごたウザいんだよ!!少し黙ってくれないかなぁ!!!!」
夏美が、怒鳴った。
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