6ヶ月後

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夏美の怒鳴り声は部屋中の空気を震わせた。 それと同時に黙りこくる…2人。 「…いつまで経ってもギャーギャーギャーギャー…。あたし達、ガキじゃないんだよ…?」 夏美の声とは思えない程の…背筋が凍り付くくらいに冷たい声が響く。 「な、夏美…?」 「守君は黙ってて。…………明彦君さぁ、さっきから勝手な理屈を並べてるけど…本当は逃げ道作ってるだけなんじゃない…?」 そう言いながら一歩明彦に接近する。…凄まじいとしか言い表せないような形相で。 普段はあんなにも明るく優しい笑顔が絶えない夏美が…。 「逃げ道…だと?」 頬に冷汗を伝わせながらも威勢を崩さない明彦。 「そうだよ。今度の試験もまた失敗するかもしれない。合格する自信がない。だから駄目だった時の理由を一方的に守君に押し付けて、自己保身…。やる事が幼稚じゃない?…本当にくだらない。」 「…ッ…!」 「自己中にも程があるよね。揚句の果てには訓練した時間が自分より守君の方が遥かに短いからって弱者呼ばわり…。………馬ッ鹿みたい…!!」 甲高い嘲笑。 「お言葉ですけど、明彦君の方がよっぽと使えないお荷物になると思うね。」 「何が言いたい…!」 「だってそうでしょ?グループで戦う以上、協調性のない仲間は足手纏いにしかならない。偉そうに人を見下してる暇があったらママと1からコミュニケーションのお勉強でもしたらどーう?」 「…うるさい…!椎羅木のような奴を庇った処で結果は変わる訳がない!また不合格だったならグループの再編成を申し立ててやるからな!そのつもりでいろ!」 「どうぞお好きに。ただしその場合は明彦君だけが移動してね。他のグループに迷惑かけるの、嫌だからね。」 「……ああ、そうさせてもらおう。」 そして明彦は休憩所から足早に立ち去ってしまった。 休憩所に残る重たい空気。 もし換気してこの空気が取り除かれるのなら、喜んでパイプを地上まで伸ばし、換気しているだろう。
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