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これ以降何度も翔に手合わせを頼み込み、何度も挑戦したが…いずれも敗北に終わった。
「守ー。大丈夫ー…?」
「……ぉぅ……なん…とか…。」
至る所にゴム弾を撃ち込まれたため、体中痣だらけだ。
「こういうのは実際に経験して覚えてくしかないからねー。まあ試験までは一週間あるし、気長に行こー。」
試験当日まで、今日を含めて一週間。
それは決して長いと言える時間ではない。
「……翔…。」
「分かってるよー。特訓付き合ってあげるから、頑張ろー。」
翌日
試験当日まで、6日
ダァン!!
「ぐぁッ!!」
「足音消えてないよー。これじゃ全然駄目ー。」
進歩なし。足音を消しつつ素早く走るという行動がどうしても困難な様子。
俺自身、守に教えられる程の力量はない。今日は任務で不在だが、明日からは華里奈にも協力してもらおうと思う。
試験当日まで、5日
ダァン!!
「げふぅッ!」
バキッ!!
「あがッ!?」
この日も同じ練習を行った…が、俺のゴム弾と華里奈の竹刀にさんざん痛め付けられていた。
この時ハッキリした。守にとって気配を消す事は完全なる苦手分野だ。
俺は実戦を想定した訓練を繰り返し行い、自然と身についたが…守はそうはいかないらしい。
見兼ねた華里奈が帰り際にコツを伝授していたが、果たして上手くいくかどうか…。
試験当日まで、4日
ズドッ
「ぅ…。」
またもや進歩なし。朝から華里奈に鳩尾を叩かれる。気配まる分かりで隙も大きい。………本当に進歩ないじゃん。
試験当日まで、3日
緊急事態発生!伊乃さんからドクターストップ!
全身傷だらけで衰弱し、気絶寸前の状態にまで追い込まれたため病棟区へ搬送。舞さんが1日中看病した。
そういえば、何もゴム弾や竹刀で痛め付ける必要なかった気がする…。
試験当日まで、2日
守には悪いけど、華里奈に任せて今日は俺自身のための訓練だけで1日過ごした。
あんまり人に構いすぎて、俺がヘマしたら元も子もない。
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