6ヶ月後

10/14
前へ
/568ページ
次へ
そして、試験前日。 俺は守との特訓のため、いつも通りにあの訓練を行っていた。 華里奈の話によれば…結局気配遮断は無理だったとか。 今日、奇跡が起こることを祈るしかない。 そして、本当に奇跡が起きるとは…思いもしなかった。 ……タッタッタッタッタッ… 壁越しに伝わってくる足音。進歩のカケラもない。正直、学習能力を疑ってしまう。 …あの曲がり角を曲がれば背後につける筈。 俺は気配を消し、角の向こうを覗き込んだ。 案の定そこにはこちらに背を向けて走っている守がいた。 ここまで来ると半ば呆れてくる。 俺は身を乗り出し、両手で拳銃を構え…… ダァン!! 引き金を引いた。 バチィッ!! ゴム弾が直撃し、痛みが体全体に伝わる。 ………これは…どういう事だ? 俺は引き金を引いてない。 引いてないのに銃声が響き、ゴム弾が命中した。 ………俺の左肩に。 「…やっと一勝…!」 勝ち誇ったような声を出した守。 彼はいつの間にこちらへ振り向き、右手の拳銃をこちらへ向けていた。 俺が撃つ寸前まで反対方向を向いていた筈の守は瞬時に振り向き、発砲。俺に命中させた。 偶然なんかでこんな芸当が出来るとは思えない。だが、俺は気配を完全に断っていた筈だ。 …何故? 昨日、何があった? 「やっと勝てたな…。翔、戻ろう。」 「う、うん…。」 一体…どんな特訓を受けたんだ…?
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29146人が本棚に入れています
本棚に追加