6ヶ月後

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訓練室を出ると腕を組み、待ち侘びた様子の華里奈が。 「どうだ?結果は。」 「何だかよく分かんないまま負けちゃったよー。」 「撃とうとした瞬間に撃たれて…か?」 「え?…何で分かったのー?」 「…やはりか。」 何がやはりなのだろうか。 「私達は守に気配を消すための訓練を打ち込んでいた。そうだな?」 「うん…。」 気配遮断は経験が1番。故に訓練方法は間違っていない筈だ。 「だが結局、目標達成は出来なかった。…しかし、一週間のこの訓練が無駄に終わったわけではない。これがどういう事か分かるか?」 「…?」 守が勝利した以上…何か成果があったという事だ。 「気配を消す事に関しては進歩のカケラもなしだか…気配を察知する能力が著しく成長したようだ。」 「…察知!?」 この訓練では守は発見されればゴム弾や竹刀で痛い目に合わされるというプレッシャーに圧されっ放しの状態だった。 故に無意識的に自分の気配ではなく、相手の気配に集中してしまい…結果として気配察知能力が驚くほど向上したという事らしい。 …でなければ先程の出来事の説明がつかない。 気配を消して背後から狙撃しようとした処へ、思わぬ反撃を受けるなど。 …つくづく変わってる奴だ。あいつは。
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