6ヶ月後

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「読み終わったー?何か質問はー?」 「…あぁ、要するにこれって2倍以上いる戦闘員を訓練生だけで倒せって事だろ?…普通に考えて無理じゃないか?」 「手加減してくれるから問題無いよー。」 「…あぁ、そう。」 質問タイム、終了。 その時、ガラガラと音を響かせながら大きな荷車を押している人物が大広間へと入って来た。おそらく職員だろう……って、厨房のおばさんじゃん。あの人。 「試験用の銃と弾薬さね!一列に並んで取っていきな!」 大広間全体へ響き渡るおばさんの声。同時に訓練生が砂糖に群がる蟻の如く荷車へ集まり出した。どうやら並ぶつもりは微塵も無いらしい。 守、翔、夏美、明彦も訓練生の群集へ紛れて銃火器と弾薬を受け取った。 翔は拳銃を、夏美は拳銃とスナイパーライフルを、明彦はマシンガンを、そして守は二丁の拳銃を受け取りゴム弾をリロードする。 「準備は整ったようだな。」 ようやく華里奈が姿を現した。片手には竹刀が握られている。刀の代用物といったところだろう。 「華里奈ちゃん遅いよ!間に合わないんじゃないかと思って心配してたんだからね!」 と、夏美。 「すまない、色々あってな。」 その時、  【…訓練生の皆さん。聞こえますか?】 放送が入った。 【これより10秒後に合図を鳴らしますので、それと同時に試験を開始してください。】 ……ブツン… 放送終了した瞬間、先程までざわついていた訓練生達がしんと…小さな呟きさえも響き渡りそうな程に静まり返る。 そして、 ビィィィィィィ!! 試験開始のアラームが鳴った。 刹那 ダダァン!!……… 銃声が2発、轟いた。 勢いよく大広間を出ようとしていた訓練生達の足が反射的に急停止ししている。 ……発砲したのは… 守だ。 両手に握られた二丁の拳銃を上へと構え、同時に引き金を引いたのだ。 その理由はすぐに分かった。大広間の高い天井より少し下に張り巡らされたフェンスに、マシンガンを持っている2人の戦闘員がいたのだ。 おそらく上から奇襲をかけるつもりだったのだろうが、守が放ったゴム弾により失敗に終わった。 「…守、よく気付いたな。」 目を丸くしている華里奈。 「おばさんが銃を運んで来たと同時に入って来たみたいだな。気配で分かった。」 「そうか…。」 異常なまでに優れた気配察知能力。 もしかしたら守は…とんでもない奴なのかもしれない。 これは……期待できるかもしれない。
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