戦闘員資格試験

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「……華里奈さん!」 足を止め、廊下の曲がり角の先を覗き込む明彦。 「どうした?」 「厄介なのがいましたよ…!」 明彦の目線の先…そこにはゴム弾を撃ち込まれリタイアしてしまった訓練生が5人。更に向こうにはマシンガンを所持している戦闘員、坪内が。 「坪内…。出くわしたか…。」 坪内は戦闘員としての腕前は上位クラス。訓練生からは要注意人物として見られている。この5人の訓練生も坪内1人にやられてしまったようだ。 「とにかく見つからない内に…」 見つからない内に全員で奇襲をかけましょう。明彦がそう言おうとした、が。 「織田、峰崎。そこに隠れているのは分かっている。姑息な真似をするだけ無駄であるぞ。」 ……既に発見されていた。 「……私が1人で行く。坪内相手では一気に2人やられて不合格になってしまいかねない。」 竹刀を握り直し、角を曲がろうと歩き出す華里奈。しかし、 「待ってください。1人で行くなら僕が行きますよ。」 「峰崎?」 ここで1人が脱落するという仮定に基づいての判断だ。グループのリーダー的存在の華里奈が危険を犯すより自らが出向いた方が、もしもの場合の損害が少ない。 「華里奈さん達は先へ。僕は坪内さんの追撃を阻止します。」 明彦は華里奈と入れ代わるように曲がり角を曲がり、数十メートル先に立ちはだかる坪内と向かい合い、対峙した。 「…任せたぞ。守、中島、花村。引き返せ!」 後ろ髪を引かれるような思いを捨て、走って来た廊下を戻る。 「明彦!」 「喧しいぞ椎羅木!さっさと行け!!」 やがて、4人の姿は見えなくなった。 ズダダダッ! 「ッ!」 突然の坪内が握るマシンガンの銃声。明彦は反射的に跳び、曲がり角の陰へと回避した。 「1人で残るか、峰崎。私も甘く見られたものだね。」 「前回の試験のようにはいかせませんよ坪内さん……………僕が食い止めますからねぇッ!!」 明彦は再び曲がり角から踊り出、マシンガンの引き金を引いた。
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