戦闘員資格試験

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腹を押さえてうずくまるセレナを尻目に、坪内1人に狙いを絞り二丁の拳銃を構える。 明彦もマシンガンの銃口を再び坪内へと向けた。 「…椎羅木、何故ここへ来た?」 「なんつーか、成り行きで。」 「馬鹿が。貴様のような素人が独断行動をするな。」 「しょうがなかったんだよ。…で、どうする?強いんだろ?坪内さんって。」 随分と前に別れた明彦が未だに坪内と対峙しているという事は…おそらく膠着状態が続いたのだろう。 明彦の力量は訓練生の中では決して弱い方では無い。だが坪内の前では赤子同然なのだろう。いや、赤子は大袈裟だとしても…苦戦を強いられたのは間違いあるまい。 坪内はこちらの出方を伺っているようだ。 「椎羅木。一旦退くぞ。」 「…ちょっと待った。このまま攻めた方が…」 「とにかく今は退くんだよ!やられたいのか!?貴様は!」 「……~ッ…分かったよ!」 守と明彦は振り返り、先程通過した曲がり角を戻る。 坪内から姿の見えないギリギリの位置に身を潜める事にした。 「で、隠れてどうするんだ?何か作戦でもあるのか?」 「それを今から考えるんだろうが!真正面から挑んだ処で負けは確実だからな…。」 その時、 「……ッ…!」 曲がり角を隔てたすぐ向こう…近距離に誰かがいる。 あそこにいたのは坪内だけの筈。という事は…こんな短時間ですぐそこまで来たという事た。 「…明彦、マシンガンを構えろ。」 「何?」 「すぐそこまで来てる…。早く構えとけ。」
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