戦闘員資格試験

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拳銃を二丁、胸の前に構え…息を殺す。 僅かに、本当に僅かに気配を感じる。おそらくは、坪内の気配が。 ここまで接近したという事は、攻めに来たのだろう。 他に隠れられる場所…せめて弾避けになりそうな場所を探すが、何も見当たらない。見えるのは延々と続く一直線の廊下だけ。 ……仕方がない。 正面から、やるしかない。 守は勢い良く曲がり角を飛び出し、二丁の拳銃を気配の感じた方向に構えた。 そこには案の定、坪内が。 守に気付きマシンガンを構えようとする。 だが、撃たせる前に撃つ! ダダァン!! 2発同時に発射されたゴム弾。この至近距離だ。猿でも外しはしない。 …だがゴム弾は、坪内に命中する事は無かった。 「…嘘だろ…。」 余りに有り得ない事に呆然とする。 …ゴム弾を…避けられた。 華里奈と同じ回避方法だ。銃口の向きから弾道を先読みし、避ける。 ガガッ!!… 坪内はマシンガンを薙ぎ払うように振り、守の両手の拳銃を叩き落とした。 武器を失ってはどうする事もできない。 格闘で抵抗しようにも…既にマシンガンの銃口を腹に突き付けられているのだから意味がない。  「くッ…!」 終わりか…! ズダダッ!! 鳴り響くマシンガンの銃声。 「ぬ…!」 小さく声を漏らし、咄嗟に後退する坪内。 明彦がマシンガンを坪内目掛けて発射したのだ。 「ボサッとするな!」 そう言って守の目前に踊り出る明彦。 しかし、 ガキィッ!! 「…ッが!?」 突然両腕に響く衝撃。 気が付けば両手に握られていたマシンガンはそこには無く、床へと落下していた。 …坪内だ。 坪内が明彦のマシンガンを蹴り落としたのだ。 「詰めが甘いぞ。峰崎。」 明彦目掛けて坪内のマシンガンの引き金が引かれる、刹那。 「明彦!!」 「…ッ…!何を…!」 守が咄嗟にマシンガンにしがみつき、力任せに奪おうと暴れ出した。
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