戦闘員資格試験

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右へ左へ揺らされるマシンガン。これでは狙いなど定まるものではない。 坪内は負けじとマシンガンを力の限り振り回すが、離れない。強力な接着剤でも塗られているのではないかと思い込んでしまう程だ。 守が体を張って作ったチャンスを無駄にする訳にはいかない。明彦はマシンガンを拾い、構えた。 「椎羅木!下がれ!!」 そして合図を送る。守が坪内のマシンガンから手を離し、大きく跳躍して後退した、瞬間。 ズダダダダ!! 「ぐぅッ…!」 引き金を引き、ゴム弾を撃ち込んだ。 「か、勝った…!」 安堵の表情を浮かべる守。 勝利した。……坪内に! 「…素人とはいえ使えなくは無いようだな。少しなら認めてやってもいいぞ?」 少々調子に乗ったのか、明彦はいつもの如くエラソーな態度へ。 「なッ…いちいち嫌味な奴だな…。」 「喧しい!さっさと華里奈さん達と合流するぞ。」 エレベーター乗り場 「あ、守君!明彦君!遅いよー!2人共やられちゃったかと思ったんだよ?」 と、夏美。 ここでは華里奈、夏美、翔の3人が守と明彦の到着を待ち侘びていた。 「悪い!大分てこずってて…。でも坪内さん倒したし……な?」 早速だが守は言い訳を述べた。まあ、事実なのだし仕方がない。 「え?坪内さん倒したの?………凄い…。」 夏美の驚き様から見ても坪内は余程の強者だったらしい。 「坪内を倒せた事は素直に褒めてやる。だが緊張を緩めるな。」 華里奈から褒め言葉を頂けるとは…実は俺って凄い?……っと、緊張を緩めるな…と。 「分かってるよ。まだ古賀さんと本田さんが残ってるんだろ?」 坪内同様、要注意人物とされている戦闘員…古賀と本田。やはりまだ残っているようだ。 「奴らの配置は訓練区だ。行くぞ。」 「あ、おい。訓練区に行く前にこの階から制圧した方が…。」 「さっき試験監督に無線で問い合せた。訓練区以外に残存している戦闘員はいない。訓練生の残りのグループ数は…2つらしい。」 「ふ、2つ!?じゃあ俺らと…1グループだけしか残ってないのかよ!?」 50近くあったグループが、今ではたったの2つ…。 過酷にも程があるだろ…。 「おそらくは既に訓練区で戦闘中の筈。私達も行くぞ。」 そう言うと華里奈は先陣切って歩き出し、エレベーターのスイッチを押した。
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