戦闘員資格試験

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訓練区の中心部にて繰り広げられている銃撃戦。 明彦と翔は物影に隠れながら銃火器を構え、戦闘員11人を相手にしていた。 もう1つの残存グループのメンバーはここで2人撃たれ脱落。残るは…この1グループのみ。 「明彦!夏美が!」 「分かっている!だが……!」 ゴム弾が容赦なく吹雪の如く押し寄せる。これでは身動きが取れない。 「邪魔なんだよ!……くそッ!!」 その時 ダァン!!ダァン!!ダァン!!ダァン!! どこからか鳴り響く銃声。撃ち出されたゴム弾が数人の戦闘員を襲った。 「何っ…!」 「どこから!?」 突然の謎の銃撃に動揺を隠せない戦闘員達。撃ったのは明彦でも翔でもなかった。 「……今だ!」 その隙を突き明彦は物影から飛び出した。 そしてマシンガンを構え、引き金を引く。 ズダダダダダダダダダ!! 慌てて周囲を見渡している戦闘員を一掃した。 ホッと一息つくのもつかの間。先程の発砲をした者。…一体誰だ? 「あ、明彦!あれ!」 「…!」 その答えはすぐに分かった。訓練室の1つを囲っている壁の上から、二丁拳銃を両手に握った守が上半身を覗かせていたからだ。 守は壁の上から発砲。奇襲を仕掛けたのだ。 だが壁の高さは高い物で7メートル、低い物で3メートルはある。守が乗り出している壁は後者のようだが…どう考えても身長が足りる訳がない。 壁の裏側…そこには… 「作戦成功!華里奈、降ろしてくれ!」 「………。」 床に台を置き、その上に華里奈が乗り、その両肩に守が足を乗せ、垂直立ちになる。それにより壁より高い位置からの射撃を可能にしたのだ。 ちなみに訓練室には天井の有る物と無い物とが存在する。程よい壁の高さかつ、天井の無い訓練室を捜し当てるのは若干苦労した。 「…普通、こういうのは男が下にならないか?」 「お前の竹刀じゃ届かないだろ。」 「だが…私が踏み台になるというのは…。」 「仕方ないだろ…他に良い方法無かったんだし。それとも、男を踏み付けて楽しみたかったのか?」 「…落とすぞ。」
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