戦闘員資格試験

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「随分とやれちゃったわね。戦闘員も鍛え直した方が良いかしら?」 守達が訓練室から出た途端、背後から声が聞こえ振り返る。 本田だ。 「まだ残っていたか。古賀も健在か?」 華里奈は竹刀を両手に握り、腰を低くして構えた。 「ええ。木村君と合わせて残り3人になってしまったけどね。」 「…てことは、あと3人倒せば試験に合格できるんだな?」 守も双方の拳銃を本田へ向ける。 「そうね。でも……」 カチッ 本田の拳銃の安全装置が解除される。 「……倒せればの話だけどね!」 「くっ…!今日は次から次へと…!」 マシンガンを両手にトレーニング器具の陰に隠れている明彦。その視線の先には…… 「どうしたどうした?逃げてばっかりじゃ俺には勝てんぞ!」 古賀だ。 夏美を狙っているというスナイパーの探索中に遭遇してしまったのだ。 今日は本当にツイていない。坪内と1対1で対峙した後だというのに、今度は古賀。 だが、やるしかない。 「やっとの事でここまで来たんだ…。今度こそ、戦闘員になってみせますからね!古賀さん!」 「おぉ、そうかそうか。大した意気込みだ。…ま、俺がいる限り無理だろうけどな!」 「見ぃーつけたー。」 少々息を切らしながらも、ようやく発見した。 夏美を狙撃しようとスナイパーライフルのスコープを覗いている戦闘員、木村を。 訓練室の1つである柔道場に隠れていたようだ。 「やあ、翔。まさか君がここに来るとはな。」 細い目でニッコリと笑いかける木村。木村は翔くらいの訓練生から見ると良いお兄さんのような存在である。 「俺も木村さんとは戦いたくなかったなー。でも、しょーがないねー。」 「まあな。」 木村はスナイパーライフルを床へ置き、拳銃を構えた。 翔も同様に拳銃を構える。 「じゃあ行くよー。木村さんでも、容赦しないからね!」
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