最終関門

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ダァン!!ダァン!! 翔の拳銃が木村を捉え、火を吹いた。 だが、 「狙いが甘いぜ!翔!」 木村は柔道場の端から端まで全速力で駆け抜け、回避した。 「…~ッ!やっぱ拳銃は苦手だなぁ!」 遠ざかられてしまっては命中はより困難なものとなる。翔も木村を追うように走り出した。 「馬鹿!無防備に敵に突っ込む奴があるか!」 柔道場には障害物となる物がまるで存在しない。そんな中、銃を手にした敵に一直線に突っ込むのは自殺行為だ。木村は嘲笑を零しながら拳銃を構えた。 「無防備ってわけじゃないよ!」 その時、翔は身を屈め、 「……んなぁ!?」 床を剥がし、木村との間を遮るように垂直立ちにさせた。 柔道場の床は畳みのように衝撃を吸収するマットが敷き詰められている。その1つを剥がし、立てれば大きな盾に早変わりさせる事ができるのだ。 大きさに関しても申し分ない。縦、横それぞれ5メートル以上ある。1人で持ち運べと言われたら極めて困難だろう。 「こんなの在りかよ………あ?」 ……立たされたマットに違和感を感じる。 何か………どんどん巨大化しているような…。 マットがこちらへ向かって倒れ込もうとしている事に気付くまで、多少の時間を要した。 そして、気付いた時には… 「ちょ……待った……。」 ズゥン…… 遅かった。 「……ッのヤロ…。」 慌ててマットを引っぺがす。もがきにもがいて、ようやく下敷きから解放された。しかし、 「…あ。」 「終わりだねー。木村さーん。」 マットをどけるのを待ち構えていたのだろう。満面の笑顔の翔が超至近距離で銃口を木村へ向けていた。 ダァン!! そして、発砲。 「夏美、言われた通り敵のスナイパーを倒したよー。もう大丈夫だからー。」
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