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トレーニング器具の羅列する広々とした訓練室。
そんな中で無数のゴム弾をお互いに撃ち合っている明彦と古賀。
複雑な形状をしているトレーニング器具を弾避けとしているため狙いが定まらず、膠着状態が続いているのだ。
明彦のマシンガンのゴム弾も残り少ない。替えの弾薬も底をついた。非常に芳しくない状況だ。
一か八かで古賀に急接近を試みるべきだろうか。……いや、それは危険過ぎる。
無線で助けを呼ぶべきか。だが古賀相手では1人や2人増やした処で大した意味を成さないだろう。
古賀の実力は華里奈でさえも及ばない程だと聞いている。
その時、
「……!」
明彦の無線にある音声が流れ込んだ。
「分かった。場所はトレーニングルーム。……ああ…了解だ。」
全く…今日はツイているのかツイていないのか、よく分からない日だ。
こちらの手筈は整った。…後は…。
明彦は立ち上がり、今隠れているトレーニング器具の陰から飛び出そうとした。その時。
ズダダツ!!
「…ッ!」
古賀の威嚇射撃。明彦の足がピタリと止まる。
「何やらこそこそ話してたみたいだが、好きにはさせんぞ。」
「……チィッ!!」
作戦がバレている、という事ははないだろうが…これでは動けない。
…それならば!
「…何!?」
唖然とする古賀。明彦はマシンガンを……古賀目掛けて放り投げた。
だがマシンガンは古賀が隠れているトレーニング器具に衝突し、鈍い音を立てて床へ落ちる。
果てしなく無意味な行為。何を血迷ったのだろうか。
それに気を取られているうちに明彦本人はこちらに背を向けて走り出していた。
…まさか逃げるために武器を捨てたというのか?
古賀もその後を追い、走り出した。
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