最終関門

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トレーニング器具の合間を縫い、全速力で駆け抜ける明彦。 追い付かれれば終わりだ。転倒を防ぐため細心の注意を払う。 出来ることならトレーニング器具を動かし古賀の足止め兼弾避けに使いたいのだが、トレーニング器具は全てが床に頑丈に固定されている。故に不可能だ。 ただただひたすら走り続けるしかない。 また、古賀との隔たりを失ってはならない。一直線上に並べば瞬時にサブマシンガンの餌食になってしまいかねないからだ。 マシンガンを放らなければ多少なりとも状況は変化していただろう。 だが後悔している暇も余裕も無い。とにかく走れ! ズダダッ!! 背中越しに伝わるサブマシンガンの銃声。その音は、明彦の心に得体の知れない恐怖感を煽った。 もうすぐだ。前方に見えるトレーニングルームの出入口。あそこさえ通過すれば…! ズダダダ!! 「おわッ!?」 放たれたゴム弾の1つが明彦の髪を靡かせ、通過した。 怯むな!走れ!!…と、自分に言い聞かせる。 そして、 「出るぞ!」 無線を口元へ運び、合図した…刹那。 バンッ 明彦は出入口の扉にタックルをし開け放った。 そのまま勢いに身を任せて扉から離れていく。   「まだ逃げるか!君は!」 古賀も扉を開き、トレーニングルームから一歩踏み出した。 ……瞬間。 バチィッ!! 「ぐあッ…!」 突如、古賀の腹を襲う衝撃。 1発のゴム弾が足元に落ち、静止した。 「……あ~ぁ。やっちまった…。」 瞬時に状況を理解した。 俺を撃ったのは………おそらく、スナイパーの女の子。 さっき無線でこそこそ話してたのは俺を確実に仕留めるため。 トレーニングルームには天井があるから…俺を外までおびき出す必要があったのだろう。 ていうか何でスナイパーの女の子が脱落してないんだよ。木村め、しくじったな。 まったく……こりゃあ一本取られたぜ…。
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