最終関門

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「くそ!どこに行った!?」 羅列する訓練室の前を走り回る守。 本田と撃ち合っているうちに逃げられ見失ってしまったため、必死に捜索しているのだ。 「守。」 背後から華里奈が追い付き並列して走る。 「どうする!?これじゃいつまで経っても…!」 「黙れ。静かにしろ。」 守はハッとして口を閉じた。大声を張り上げてはどこかに身を潜めているのであろう本田に気付かれてしまう。 その時、 ダァン!! 銃声が鳴り響いた。 本田に発見されたようだ。だとすれば、ここに留まっているのは危険窮まりない。 「こっちだ!ボサッとするな!」 華里奈は守の左腕を強引に引っつかみ、近くの訓練室のドアを蹴飛ばした。 少々力みすぎたためかドアを止めている金具が外れ、ドアが吹っ飛ばされていく。 「おい…壊し…。」 「放っておけ!」 …予算不足なんだろ…?給料から修理代引かれるぞ…。 2人は訓練室へ駆け込んだ。ゴム弾を回避するためだ。 「お前はここに隠れていろ。私1人で奴を仕留める。」 「ひ、1人でって…。」 「心配は無用だ。私を甘く見るな。」 力強く、勝利の確信に満ちた瞳。 こういう時に実感する。この人は本当に強いんだな…と。 華里奈は竹刀を片手に握り締め、訓練室を飛び出した。 ダァン!! その直後に響く銃声。狙われている。 という事は拳銃で自分を射撃できる位置にいる事は間違いない。眼球を回転させ本田を捜す。 そして、 (…いた!) 遠目にだが発見した。 訓練室と訓練室の狭間にある、人1人分程の幅しかない細い通路の陰からこちらに拳銃を向けている本田を。 華里奈は竹刀を構え、本田目掛けて駆け出した。 ダァン!!ダァン!! 本田が近付けまいと発砲する。が、どんなに遠目でも銃口の向きは分かる。それさえ見えれば遠距離からの射撃など恐るるに足りない。 素早く確実に、怯むことなく本田との距離を詰めていった。
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