最終関門

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「くっ…!」 落下時の衝撃をできるだけ緩和するため受け身の姿勢をとる華里奈。 訓練室の高さは4メートル弱。打ち所が悪くなければ死にはしないだろうが、骨折は覚悟しなければ。 恐らく前代未聞だ。試験中に訓練室の上から転落し、骨折など。 固い床が迫る。 そして 「ぅおおおおおおおおおッ!!!」 ……ドサッ… 予想より遥かに柔らかい衝撃。 それもその筈。 華里奈の体が床に叩き付けられる直前に守が全速力で駆け付け、受け止めたのだ。 「……ゲホッゲホッ…!…守…!」 「っぶねぇ…。」 華里奈の体重が軽くて助かった。落下の衝撃に加え体重も重ければ守では受け切れなかった可能性があった。 「…ったく。何が私1人で仕留める、だよ。俺がいなかったら大怪我してたぞ?」 「…済まない。」 守は華里奈をゆっくりと床へ降ろし、咄嗟に投げ捨てていた二丁の拳銃を手に取った。 「今度はヘマはしない。行ってくる。」 再び本田の元へ戻るのだろう。華里奈は立ち上がり、先程の狭い通路へと歩き出した。 「ちょっと待った。今度は俺も行く。」 「私1人で…」 「1人で行って駄目だったじゃねぇか…。協力させてくれ。」 「しかし相手は本田だ。お前では返り討ちに合いかねない。」 分かっている。 どんな戦闘があったかは知らないが、自分より実力が数段勝る華里奈がやられかけたのだ。 だが… 「俺だってそれなりに強くなったつもりなんだよ。…信用してくれ。」 いくら手強い相手だからと言って、引き下がりたくない。 その時 「大丈夫そうね、華里奈さん。」 突然、背後に本田が現れた。
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