最終関門

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本田は両手を挙げ、投降の意を表した。 今この瞬間、戦闘員は全滅。よって、 ・椎羅木 守 ・織田 華里奈 ・峰崎 明彦 ・中島 翔 ・花村 夏美 以上5名 戦闘員資格試験、合格とする。 「ぃよっしゃあ!!」 「やったねー!守ー!」 バチィッ!! 気持ち良く響き渡る、手の平と手の平の衝突音。 守と翔が打ち鳴らした。 「や、やった!合格だね!華里奈ちゃん!明彦君!」 夏美は極度の興奮状態に陥り、涙まで流していた。 それにしても驚いた。 戦闘員は試験中は全員、両手首・両足首にオモリを装着していたのだ。 その重量は凄まじい物で、四肢の自由が大幅に奪われる。 訓練生へ対してのハンデなのだろうが、彼らにとっては相当辛かったに違いない。(並の戦闘員へのハンデとして華里奈も着用していた。) しかし、本当に合格できるとは思わなかった。 守という新米訓練生をグループに入れておきながら…だ。 「しっかし懐かしいな、この感じ!高校受験に合格した時以来だ!」 と、守。 「それ分かる!私も小学校の受験が懐かしいよ!」 何げなく夏美が言った。 「そうだよな!…………って…小学校を受験…?」 その時、 「よう!どうだ?お受験に合格できた気分は!」 古賀が割って入って来た。 「何の用だ古賀。負け惜しみを言いに来たか、この負け犬め。」 華里奈。いきなり何だ、お前は。 「…私は先に部屋へ戻る。また後でな。」 そしてこちらに背を向け歩いていく華里奈。 だが、 「華里奈!」 慌てて守が引き止めた。 「何だ?」 「そっち、方向違うぞ。」 「…!」 早速かい。 試験中は迷う事なく走り回ってたってのにな…。 自室へ戻るのを諦めたのであろう華里奈は守達の元へと戻った。 「そ、それで、古賀!何の用だ?」 早速方向音痴に陥ってしまい、恥ずかしさを隠したいのだろう。慌てて話題を反らす。 「なぁに、大した用じゃないさ。楽しそうなところを悪いが、ちょっと来てくれ。全員な。」
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