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阿嘉欺は自分へ向かってくる武谷にターゲットを変更し、ナイフを振り上げた。
月光を反射して煌めく刃は武谷の顔面へ一直線に直進し、その皮膚を…裂く。
「あッ…く…!」
頬に一筋の切り傷が刻まれた。だがこの程度で怯む事は無い。
ナイフ掴んでいる阿嘉欺の手の甲を思い切り殴り
ナイフを…落とさせた。
「くッ…そ…!」
武谷の首を掴もうと阿嘉欺の右腕が伸びる。
それとほぼ同時に武谷が阿嘉欺に背中を見せる。
(貰った!)
阿嘉欺が目前に見える後頭部を掴もうとする、刹那。
「…ッ!?」
体の動きが止まった。
否、止められた。
見ると胸倉と右腕を掴まれている。
こちらに背を向けたままの武谷によって。
「っ…ぁぁあああ!!」
その時、阿嘉欺の体が一気に持ち上げられた。
武谷の背負い投げだ。
「ぐっ…そ…!」
こうなっては抵抗する事も出来ない。
阿嘉欺は遠心力により増幅する勢いに身を任せ、
ガシャァァン!!
窓ガラスに頭から突っ込んだ。
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