最終関門

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「な、何ですかそれは!僕達は試験に合格したんですよ!?その時点で戦闘員になれた筈じゃないんですか!?」 反発か驚愕か……明彦が望月の背中に向かって大声をあげた。 突然の展開に動揺を隠せぬ者はいない。本当に戦闘員になれるかどうか…だと? 「それは大丈夫だ。試験に合格した以上戦闘員の資格を剥奪するつもりはない。ただ、本気で戦闘員をやってくならまだ足りない物があるだけだ。」 望月の代わりに古賀が口を開いた。 一同は訳が分からないという顔をしたが……。 「まあこっちに来りゃ分かる。着いてこい。」 先導して歩いていく古賀と望月。守達も素直に後に続く。 「なあ、華里奈。これから何やらされるんだ?何か知らないか?」 守は何となく不安になり、これから起こりうる何かを華里奈に尋ねてみたが、 「………まあ、とても大事な事である事は確か。私の口からはそれ以上は言えない。」 「何だよそれ…。」 そして一行は奥の扉へと到着した。 「それじゃあ君達。そこの箱に銃が入ってる。それぞれ準備しといてくれ。」 古賀は扉の前に無造作に置かれている箱を指差した。 「またゴム弾ですか?」 「いや、今度は実弾だ。こんな事言う必要は無いだろうが、気をつけろよ。」 実弾を使用しての試験…まさか本当に撃ち合うというんじゃ……。 胸に不安を抱きながらも、華里奈以外…守、明彦、翔、夏美は拳銃を手に取った。 「そんじゃあ開けるぞ。」 ギィィィィ… 今にも壊れそうは音を響かせて開く扉。その向こうには…。 先程までの薄暗い部屋とは裏腹に、蛍光灯で照らされたとても明るい部屋があった。 そして手錠に繋がれた12人の囚人と、その倍以上と思われる数のそれぞれマシンガンを得物としている見張り達。 「こちらも準備は万端のようだね。それでは、始めてくれ。」 促すように言い放つ望月。 ……始めるって…何を…? 拘束された囚人相手に何をしろと? 想像がつかない。 そして次に望月が吐く言葉も、想定許容範囲外の言葉だった。 「それでは、こいつらを殺してくれたまえ。」
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