14年間

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「…と…どうした?お前ら。」 バーの雰囲気が普段より全然違う。月とスッポン並に違う。 その理由は、すぐにわかった。 「……お前、浩司か?」 「ん?」 突然、下の名前を呼ばれて振り返る古賀。 「…………真…?」 そして長海の姿を見た途端…ジョディ改め勘太郎同様、硬直した。 「…やっぱ浩司か…。」 「真…か?」 …………… ………… ……… …… … 長時間に渡る沈黙。 「………どのツラ下げて戻って来た!!!真ぉぉぉぉ!!!」 古賀の怒鳴り声と共に、沈黙が木っ端微塵に破り捨てられた。 そして、 「ッらあああああ!!!」 殴り掛かる。 「相変わらずだなぁ!!浩司ッ!!」 バシッ!! 長海は古賀が勢い良く突き出した拳を片手で受け止めた。 「忘れたとは言わさないからな…!俺との決着を!」 「お前との決着は着いただろーに!!俺の勝利って形でなぁッ!!」 バッ! 2人は同時に後方へ飛びのき、距離を大きく取った。 「それは早食い競争の話だろうが!!ポーカーは俺の圧勝だったのを忘れたか!?」 足元に転がっているビール瓶を広い、構える古賀。 「それはお前がイカサマしたからだ!知ってるんだぜ!?俺は!!」 長海もビール瓶を両手に掴んだ。 「うるせぇな!!それと、俺のエロ本を借りパクするんじゃない!!とっとと返せ!!」 「馬鹿言うなって!俺はちゃんと50冊全部返した筈だろーが!!それより14年前にお前が壊した俺のテレビの弁償はまだか!?」 「14年も見てない癖して偉そうに弁償しろと言わないでもらいたいところだな!!」 「何ぃ!?お前…この野郎!!」 「やる気か!?」 「………。」 このスケールの小さい口喧嘩とは比較対象にならない程の凄まじい喧嘩が勃発しそうな雰囲気だ…。 正直出ていって欲しい。頼むから店を荒らさないでくれ。と、ジョディは心底願っていた。
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