14年間

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「古賀。いるか?」 その時、右手に構造図、左手に刀を掴んだ華里奈がバーに現れた。 「失礼しまーす…。」 低姿勢で控え目な体制の舞がそれに続く。 「チキンレースは俺の勝ちだった筈だ!!」 「忘れちまったぜ、そんなこたーなぁ!!」 「記憶力の悪さも14年前と変わらずか!傭兵になってどのくらい成長して帰ってくるのかと思えば…期待外れも良いところだな!!」 「………。」 無言で立ち尽くす華里奈と舞。 今思った事を率直に言おう。 何だ?これは。 良い大人がビール瓶を片手に喧嘩腰になり、大声で低レベルな言い合いをしているなどという光景は生まれて始めて見た。 「か、華里奈ちゃん!!ちょっと!!」 見れば焦っていると嫌でも分かる様子のジョディが走り寄って来た。 「お願い!あのよく分かんない喧嘩を止めて!下手したら店が目茶苦茶になっちゃう!!」 華里奈としては酔った勢いのただの喧嘩にしか見えない……が。 「…良いだろう。」 こういった些細な争い事は嫌いではない。 華里奈は無表情で鞘から刀を抜いた。 「…もういい。こんなつまらん言い争いを続けたところで、意味なんざ1つも無い。」 「ならどうする気だぁ?浩司。」 「決まってるだろう。…こうするんだよ!!」 とうとう本格的な喧嘩の勃発だ。 古賀はビール瓶を構え、走り出す! 「おもしれぇ!!後でほえ面かくなよぉッ!!」 向かってくるのなら迎え討つのみ。 ビール瓶を握る拳に力が入る。 そして… ガチャアン!!! 「何…ッ!?」 古賀のビール瓶が…砕け散った。 「何を熱くなっている。今日負かされた腹いせか?」 華里奈が即座に走り寄り、刀の峰をビール瓶へ叩き込んだのだ。
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