14年間

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割れた瓶からビールがガラス片と共に流れ落ちる。 「お、おい!何すんだ!」 「分からないか?止めてやったんだ。喧嘩を。」 華里奈は刀に付着したビールの水滴を払い飛ばし鞘へと納めた。 「それよりお前にお呼びがかかっている。」 「お呼び?ったく、どこのどいつだ…。タイミング悪すぎでしょうが…。」 古賀はぶつくさと愚痴を零している。…ここまでふて腐れた大人を見るのも初めてだ。 「あのー…古賀さん。」 背後から申し訳なさそうに話し掛ける舞。 「お呼びって君か。何の用だ?お嬢さん。」 「伊乃さんが呼んでました。すぐに診療室へ行ってください。」 「…何でだ?俺、どっか悪いの?」 「この前の定期歯科検診の結果、歯石と歯垢が大量に見つかったので早く処理しちゃいたいらしいんですけど…。」 「………。」 ……面倒くせぇ…。 「おいおい…ちゃんと歯磨きしないからそーなるんだぜ?」 と、長海。 「喧しい!大体、お前は俺と若干キャラ被るんだよ。ホントに戻って来なくて良かったものを…。」 「どうせすぐに飛んじまうんだし、堅い事言うなって。次はミャンマーの内戦に介入するっつー大仕事が控えてるしな。」 少し帰郷したかと思えば今度はミャンマーか…。落ち着かない奴だ。
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