14年間

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「ところで、1つ聞きたい事がある。誰?こいつ。」 華里奈は長海を指差し、言った。 「俺の事知らないか?ここで俺を知らない奴はいないと思ったんだがなぁ…。長海 真だ。君はここの訓練生かい?」 「いや、今日やっと戦闘員になった。………長海 真か…。」 「へぇ、君みたいな子も戦闘員なのかぁ。で、聞いたことくらいはあるよな?俺の名前。」 「ない。」 長海が何となく儚く見える。 「…そ、そうだ!浩司!戦闘資格試験って今日だったんだろ?合格者名簿見せてくれ!」 話を変えたかったのだろう。別に見る必要の無い試験合格者名簿を咄嗟に口にしてしまった。 「あ、ああ!まあ…良いんじゃないか?」 古賀もフォローに回る。 「お嬢さん!歯石やらは別に後回しでも良いよな?」 「………。」 何故か硬直している舞。考え事でもしているのか…意識がそっちのけだ。   「お嬢さん?お嬢さん!」 「え?…あ……い、良いんじゃ…ないでしょうか…?」 舞は突然意識を引き戻され、ぎこちない返答を返した。 「そんじゃ行こうぜ!しっかし久しぶりだなぁ!本部に入るのは!」 古賀に連れられ、本部へ繋がる階段を降りていく長海。先程までの理解し難い喧嘩は何だったのだろうか。 「何なんだ?奴は…。」 華里奈も渋々後に着いて行った。 「長海 真…。」 思わず、その名を呟く舞。 長海 真。この名前に何か…思い当たる節がある。 どこかで……どこかで聞いたような…。 「舞。何を突っ立っている?行くぞ。」 「あ…うん…。」 余程ぼんやりしていたのであろう。急かされてしまった。 舞は足早に歩きだし、華里奈に続いて階段を降りて行った。
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