14年間

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「…守君がどうかしたのか?」 「あ、あぁ…いや…何でもない…。」 椎羅木 守…まさか…まさかな…。 「しかし、ホントに運が無いっていうか………散々な目にあってるんだなよな、守君も。」 溜息を吐きながら、哀れむかのように口を開く古賀。 「散々?……何があったってんだ?」 「理不尽にこっちの世界に巻き込まれて、母親まで殺されちまったんだよ…。」 母親…? 守の母親が…殺された? 「……いうことだよ…。」 激しく震える小声。 「真?」 「どういう事だって聞いてんだよ!!!」 椎羅木 守が戦闘員。そしてその母親が殺された。 何かの間違いであって欲しい…。 この上なく嫌な予感が胸をよぎった。 病棟区 診療室前 「長海……長海 真………長海…長海……ブツブツ…。」 先程からずっっっっっと何かに取り憑かれたように長海 真の名前を連呼している舞。 「…。」 横でずっっっっっとそれを聞かされている華里奈。 正直に言おう。気味が悪い。 「長海…長海長海長海…………~ッ!」 次第に苛々してきたのか舞は自らの髪をがしがしと掻き始めた。 「……さっきから何をやってる…?その怪しい行動は何だ…?」 このような奇怪な行動を真横でされては気になって仕方がない。思い切って尋ねてみた。 「………うん……………あの長海って人、どこかで会った事あるような…。」 「…そんな事か。」 どうやら華里奈の興味を引く内容ではなかったようだ。軽く受け流している。 「そんな事って…。」 「気のせいだろう。それか、誰かと勘違いしてるだけ。」 「……う~ん…そうなのかな…。」 ……いや、長海 真という男を…私は確実に知っている。 ずっと幼い頃に…確かに会……………………………………………………………………………………………………あ………? 「あぁああっ!!!」 思い出した!長海 真………あの人は…! 気がつけば私は振り返り、走り出していた。
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