14年間

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「舞…なのか…?本当に…。」 「……はい…。」 待ちに待った、14年ぶりの我が子との再会。それがこんな形になろうとは…誰が予想できようか。 「娘って…、真。何がどうなってんだ…?」 「浩司、悪いが…少し2人にさせてくれ。」 「真…。」 長海は舞を連れ、この場を去っていった。 「……14年も会ってなかったからな…誰だか全然分からなかったな…。」 「そうですか……。」 前に見たのは舞がまだ幼稚園児だった時。あまりの変わり様に…驚いた。 「今は18か19歳辺りか。…本当に大きくなったな。」 傭兵になりたいがために家庭を放り出した自分に父親ような振る舞いはできない。できる訳がない。……どんな言葉をかけてやれば良いのかも分からない。 謝罪の言葉すら言うべきかどうか迷っている始末だ。 「19です。ここに来る前は…大学にも通ってました。」 「…そうかい。」 それにしても血の繋がった家族という実感がちっとも湧かない。やはり赤の他人なのではないだろうか…と、考えてしまう程に。 「…なあ、君は俺の娘なんだろう?ならタメ口で喋ってくれないか?」 「…え?」  「家族の間で重っ苦しい関係を持つのは好きじゃないんだ。」 「あ……うん。」 …結局父親面か。駄目だな、俺も。 ……この際、そんなしがらみは置いておこう。 今、1番気になっている事を聞いてみる事にした。 「守も…ここに来てるのか?」 先程見た、戦闘員資格試験合格者名簿。 そこに掲載されていた……守の名前。 心の中で同姓同名であってくれと幾度も祈った。 「…うん。守もいるよ。今日、戦闘員にもなった。」 やっぱり……守か…。 何でこんな所にいるんだよ…。 何で戦闘員なんかになってるんだよ…。 俺がいない間に……何があったんだよ…!
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