狂い出す運命

18/21
前へ
/568ページ
次へ
暗くてよく分からないが、芝崎が力無く倒れ込むのは嫌でも分かった。 そして、とめどなく流れ出る毒々しい血液も。 「……。」 ……カラン… 血に濡れたナイフを放り捨てる武谷。 「椎羅木君、怪我は無い?」 彼女から発せられた一言は意外にも優しい言葉だった。 とても、何人もの人を殺した人物とは思えないくらいの。 「あー…服が返り血でベットリじゃない。ごめんなさいね。今購買の方から新しい制服持ってくるから。」 「……あ…あぁ。」 守は未だに理解仕切れていなかった。 昨日までは自分達の教師だった人達が、このような形で死を遂げるとは…誰が予想できようか。 改めてこの場を見渡してみる。 ………死体。 血生臭い……複数の死体。 ……………吐き気がする。 ドサッ 「…あ、姉貴!?」 突然、舞が倒れた。 気絶してしまったようだ。 「あら…女の子にはショックが大きすぎたかしらね?」 武谷は何食わぬ顔で言った。 「……なあ…俺達、どうすれば良い?」 「ん?」 「何がどうなってんのか全然わかんねえけど…ヤバイ事に首突っ込んだみたいだし…。」 「その事なんだけど…。」武谷の表情が気まずそうなモノに変わる。 「とにかく場所を移しましょう。いつまでもこんな場所にいたく無いでしょ?」
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29147人が本棚に入れています
本棚に追加