MAFIA EXTERMINATORS

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ダァン!!……… 牢獄区の奥に設置された部屋に鳴り響く、1発の銃声。 ドシャ… 頭部から血液を流しながら倒れ込む囚人。 そして、拳銃を片手に無表情で突っ立っている守。 守が囚人の頭を撃ち抜いたのだ。 これは戦闘員になった時から2週間に渡り毎日続けている……人殺しに馴染むための訓練だ。 最初は復讐という目標と怒りという感情に身を委ねる事により理性を抑制し、銃殺を遂行していた。 だがそれでは駄目だ。 時間が経ち理性が怒りに勝っていくに連れ、『人を撃った罪悪感』に駆られてしまった。 体が震え、食べ物も喉を通らなくなる程に。 しかし、今は違う。 理性で思うがままに人を撃てるようになった。 復讐という目標があれば自分の意志で微塵の抵抗も無く撃てる。 例えるならば…肉食動物と言うべきだろうか。 肉食動物は補食という目的のためならば躊躇う事なく草食動物を襲う。 肉食動物にとって、それは日課。生きるためには仕方の無い事。それと同じだ。 生きるためには毎日草食動物を殺さなければならないように、復讐を成し遂げるためには毎日人を撃たなければならない。 だが、肉食動物と異なる点が1つある。 本能で動くか、理性で動くかだ。 そしてこの訓練を続けた末、やっと出来た。 人を理性で撃つ事を。 人を撃つ事に馴れる事を。 「今日のノルマ達成…と。」 守は拳銃をホルスターへと入れ、悠々と部屋を去った。
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