MAFIA EXTERMINATORS

3/10
前へ
/568ページ
次へ
「…。どうした?」 部屋を出るとそこには人影が。 華里奈だ。どうやらここで待ち構えていたらしい。 「呼び出しだ。至急、司令室に行け。」 「呼び出し?……もしかして、初任務ってヤツかよ?」 うっかり忘れていたが今では立派な戦闘員。任務を請け負わされてもおかしくはない。 だが、 「違う。任務の前に、もっと重要な事があるだろう。」 「え?……んだよ、違うのかよ…。だいたい何で呼び出しなんか…?」 「早く行け。行けば分かる。」 説明が面倒なのだろう。華里奈は振り返り、先に歩き出した。 「…どうだ?調子は。戦闘員としてやっていけそうか?」 歩行中に突然話を切り出す華里奈。 「ああ…まあな。」 「そうか。なら良い。」 この訓練により人殺しにトラウマを抱いてしまう者も少なくはないと聞いている。おそらく華里奈はそれを心配したのだろう。 「…1つ聞いていいか?」 「何だ?」 「華里奈は初めて人を殺した時………どう思った?」 突飛な質問だっただろうか。華里奈は守へ振り向くそぶりを見せたが、すぐに視線を構造図へ戻した。 「何故そんな事を聞く?」 「気になっただけだよ。あ、嫌な質問だったら無理して答えなくて良いけど…。」 考え直してみれば、とんでもない事を聞いていた気がする。初めて人を殺した時の気持ちなど思い出したいわけが無い。現に自分だってそうだ。 だが華里奈は無視はしなかった。 「……怖かった。」 「え?」 「人の命を絶つ感触。人の生涯をこの手で終わらせる思い。……少なくとも良いものでは無かった。」 腰に無造作に下げられている、鞘に納められた刀。華里奈はこれで数多の人間を斬って来たのだ。 銃とは違い、人を殺したとう感触がそのまま体へと伝わってくる刀で。 恐ろしくない訳が無かった。
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29145人が本棚に入れています
本棚に追加